2016.01.07

しずかちゃんの家のプロファイル


小売のマーケッターにとって地域理解とそれを社内で共有することはチャレンジです。引越しの回数が多い人は「ところ変われば品変わる」という現象には非常に敏感ですがそうでないひとは鈍感です。

ところで不運にも店舗開発や不動産開発など地域とかかわりのある仕事についたひとにとって地域理解のスキルをどのように磨けばよいでしょうか。

地域分析を専門に学ぶ大学のカリキュラムに「地理学」があります。地理学というと鉄道オタクや教員を目指すひと、ブラタモリのような番組を熱心にみるカルトチックなひとが学ぶ物好きの学問と思われていますが(笑)、そのとおりです。

判読キーを見つけることが地域理解のポイント

筆者も地理学を学んだ一人ですが、地域を学び表現するために最初に学ぶことは「だれもが知っている場所を鍵として他の地域を語る」技法を身につけることから始まります。これを「判読キー」といいます。

地域理解には組織内で共通に理解できる「判読キー」をどれだけ多く持っているかがポイントとなります。「すでに知って いる地域(既知)」をカギとして「未知」の場所を理解するとい流れです。

ところが、困ったことに地域に対する個人個人の理解ほどバラバラなものはありません。いろいろな場所にいったことがあるひと生まれてからこの方自宅と学校、会社以外いったことのないひとでは、また男と女では場所にたいする興味や理解のしかたがまるで違います。

そのような個人による地域認識のバラツキを解決するに は、データマップ(主題図)の作成がとても役に立ちます。データマップは特定の視点で、ある規則にのっとて表現した地図ですから、みんなで共通認識 をつくることがいともたやすくできるようになります。

サザエさん、ちびまるこちゃんそしてドラえもんの居住地域の特徴

サザエさんの舞台になった地域(世田谷区桜新町周辺)は居住者クラスターはグループ1に分類されていました(こちらの記事を参照)、地価が高く、子育てファミリー世帯が日本の平均に比べて少ない地域です。このGeodemo1は特に東京多く、構成比率が高い区としては千代田区、港区、渋谷区、新宿区、文京区などになります。下の地図は居住者クラスター(Geodemo)で色分けした世田谷区のデータマップです。

東京都世田谷区のGeodemo MAP

東京都世田谷区のGeodemo MAP

世田谷区のGeodemo10分類

世田谷区のGeodemo10分類

ちびまる子ちゃん一家は、原作者のさくらももこさんが小学校のとき住んでいた、静岡県清水市(現在の清水区)新富町がモデルといわれています。清水の次郎長親分のお墓が近所にあります。家族構成は、まる子ちゃんのお姉さんと両親、そしておじいちゃんとおばあちゃんです。日本のブルーカラー中流ファミリーの多い地域でい、世田谷と比較して三世代同居ファミ リーが多いのも特徴です。

清水区新富町はグループ7「郊外外縁部」地区と分類 されています。まる子ちゃんちの家族構成はこの地域ではいまでも一般的です。製造業・建設業などの二次産業に従事する勤労者・自営業者の比率が高い地域です。

ホワイトカラーファミリーのサザエさん

サザエさんのモデルになった世田谷区の桜新町は圧倒的にホワイトカラー、大企業に勤める人が多い地域です。まる子ちゃんち周辺では戸建の持ち家世帯がマジョリティーですが、サザエさんの家の近くでは低層マンション、中高層マンションが多く目にとまります。

まる子ちゃん家は東海道本線の入江岡駅から10分ぐらいのところにありますが、周辺には町工場が点在し、高校を卒業す ると地元で就職する人も多く、仕事場と生活する場所が近いため、満員電車の通勤で神経をすり減らすこともありません。生活には自動車が必需品ですが、ボックス型の軽自動車が実用性と経済性から好まれる傾向があります。

クリックすると大きな画像で見ることができます

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清水区のGeodemo10分類

清水区のGeodemo10分類

原作者のさくらももこさんは昭和40年生まれ。初期のころのちびまる子ちゃんのコミックには、都会には水洗トイレあるのに、自分の家にはまだない貧しい家だったと回想するシーンがあります。

現在、静岡市の下水道の普 及率は70%と政令指定都市の中ではもっとも低く普及拡大が重要課題だと市のホームページにありました(2013年3月現在)。

サザエさんち周辺は単身・二人世帯の多い富裕層地区、ちびまる子ちゃんはブルーカラー勤労世帯の居住地域を理解するための判読キーになります。

しずかちゃんちの居住環境

ちなみに「ドラえもん」の舞台になった練馬区はGeodemo2の「富裕層ファミリー」が多い地域です。

東京都練馬区のGeodemo MAP

東京都練馬区のGeodemo MAP

練馬区のGeodemo10分類

練馬区のGeodemo10分類

昭和40年代の練馬は下水道整備と宅地開発から土管のある空き地がありましたが、いまは存在しません。下水道の普及率も100%となっています。

練馬区はサザエさんち周辺に多い「都市部富裕層」(Geodemo1)と「都市部富裕層ファミリー」(Geodemo2)に分類されています。このGeodemo2「都市部富裕層ファミリー」は高学歴、高収入な子育てファミリーでピアノ、バイオリンなどのおけいこ事への投資も熱心なのが特徴です。なるほどしずかちゃんのイメージと重なります。

この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作