2016.02.12

テラスモール湘南と似ている立地のSCは?


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商業施設デベロッパーにとって、類似商圏の研究と探索は必須の課題です。成功している商業施設と類似の商圏構造をもつ物件を探すことができれば、どのような条件を整えることによってその物件が再生できるか良質な仮説をたてることができます。

テラスモール湘南(神奈川県藤沢市)は近年開発された大型商業施設でも大成功をしたSCとして知られています。成功の定義は様々ですが、計画当初期待していたパフォーマンスを超える実績を継続的にあげることができた商業施設を「成功」とすると「ポテンシャルの高い立地だが、施設がないか、あっても市場の期待に応え切れていない立地」と言い換えることができます。

商圏類似度ランキングを使ってみる

SCクラスター3000は、日本全国のSCの商圏を同じ基準で(居住者人口の質と量、就業者人口、小売販売額、競合SCの分布、人口増加率)比較したデータを提供しています。これらのデータを比較して3223箇所のSCの商圏を比較し「類似度」の高いものをランキングしたデータも提供されています。

類似度ランキングの手法は、SCクラスター3000で提供されている「商圏属性データ」47項目を比較して類似度を統計的に計算しています。5km圏の居住者クラスター(Geodemo)構成比率、1km,3km,5km圏の男女別人口、世帯数、男女別就業人口、昼間人口、小売販売額、人口増加率(2005-2010)を比較して、似ている商圏順に上位30位をランキングしています。まったく同じ商圏は存在しませんが似ている商圏を観察することによって「自社の商業施設の優れているところ、足りないところ」を把握することができ多くの知見を得ることができます。

TrraceMall湘南(テラスモール湘南)

TrraceMall湘南(テラスモール湘南)

テラスモール湘南の類似商圏リストをみてみると「検見川浜米サイドモールフェリア(千葉県千葉市美浜区)」がもっとも近い商圏としてランクしています。

検見川浜ベイサイドモールフェリア(画像をクリックすると拡大します)

検見川浜ベイサイドモールフェリア(画像をクリックすると拡大します)

商圏の質と量は似ていますが、4km圏内には日本最大級のSCイオンモール幕張(128,000平米)があり、検見川浜米サイドモールフェリアの場所にテラスモール湘南と同規模(63000平米)の商業施設を開発すしてもすでに時遅しという感じがします。

二番目に似ている立地としてランクインしているのが「Luz湘南辻堂(神奈川県藤沢市)」ですが、これは近すぎます。似ている商圏を探索してゆくとこのように周辺部に自分と似た商圏が現れるのはよくある現象です。次の候補地を見てゆきましょう。

次の候補地は「新所沢パルコ(埼玉県所沢市)」です。沿岸部の藤沢と似た立地が内陸部の所沢にあるというのは興味深い結果です。早速新所沢パルコのSCクラスター3000のデータシートみてみましょう。

新所沢パルコ

新所沢パルコ

新所沢パルコは売場面積が19,000平米と小ぶりな商業施設で、開発されたのは1983年です。5km圏の競合商業集積地は所沢駅周辺です。ワルツ所沢の開発年度は1986年と今となっては古いタイプの商業施設となっています。バブル期に郊外が一気に発展したそのときの商業施設群といえるでしょう。2010年以降に開発された大型商業施設と比較すると規模感がありません。

あらためてテラスモール湘南のデータシートと比較してみると、所沢中心街と比較できるのが藤沢市の中心街です。ルミネ藤沢、OPAなど80年代に開発された商業施設が立地しています。そのような市場に最新の大型商業施設が登場したことが市場を刺激したのかもしれません。

それぞれの商圏の主要な居住者は、都心に通勤しているGeodemo2「市街地の富裕層ファミリー」です。日ごろから多くのブランドに接触している人たちが周辺に多く居住しているところも共通しています。

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この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作