2015.11.03

世代と地域で違う人気のビール


ナショナルブランドでシェアナンバーワンの商品でも居住者クラスター間では異なる普及率を示すことがあります。ある共通の体験をもった世代が特定の地域に多く住んでいるとその現象は顕著になります。

高齢者地区と田舎でシェアが高い

高齢者地区と田舎でシェアが高い

今年5月に実施した楽天リサーチの「あなたの生活に関する調査」(注1)の回答結果に居住者コード(Geodemo)を添付し10グループごとに集計した結果です(図表)。

スーパードライの愛飲率は全国平均24%でしたが、平均より高い地域がありました。

  • Geodemo6「高齢化進展地区」(31%)
  • Geodemo8「アクティブシニア地区」(31%)
  • Geodemo10「農林水産・過疎地区」(32%)

これら三つの居住者クラスターの共通点はなんでしょう?そうです、どの地域の高齢者の比率が高いエリアです。Geodemo10「農林水産・過疎地区」は「高齢化」というキーワードが名前についていませんが、過疎化が進展するエリアなので高齢化も進んでいます。

なぜ高齢者の多い地区でスーパードライ?

エビスビールの居住者クラスター別シェア

エビスビールの居住者クラスター別シェア

この問いに答えるにはもう少し比較研究が必要そうです。同じ調査から高級ビールのエビスビール(国内愛飲率)をみてみると、

  • Geodemo2「富裕層ファミリー」(7%)
  • Geodemo8「アクティブシニア」(9%)

でこの2つの地域に共通点しているのは「豊かな世帯が多い地区」というところです。「アクティブシニア」地区は郊外の高級住宅地だったところの子供たちが巣立ったあとに高齢者夫婦だけが住んでいるような地区で「いつかはクラウン」といったイメージがぴったりのエリア。

都市部に愛飲者の多いプレミアムモルツ

都市部に愛飲者の多いプレミアムモルツ

もう一方の高級ビールの横綱ザ・プレミアム・モルツ(以下プレモル)の居住地クラスター別の愛飲率をみてみると、

  • Geodemo1「都市部富裕層地区」(10%)
  • Geodemo2「富裕層ファミリー地区」(11%)
  • Geodemo3<「シングル・カップル地区」(12%)/li>

都市部の居住者に支持されているようすがわかります。

団塊世代が支持するブランド?

スーパードライが登場したのが1987年でエビスビールは100年近い歴史がありますがリバイバルで人気になったのが1988年。プレモルは2001年からそれまでの限定販売から缶製品での販売を開始(wikiより)。

スーパードライとエビスビール、現在の65歳以上の団塊世代がもっとも働き盛りのころに愛飲した経験のブランドという点が共通します。

一方のプレモルは都会の人たちGeodemo1や2と比較的若い年齢層が多いGeodemo3「シングル・カップル」地区に刺さるブランドになっています。

プレミアム感 = 人と違うことの快感

都市部の人口は厚みがあります。若い人たちはビールを飲まなくなった言われますが、プレモルの愛飲者は単身・二人世帯の若い世代の多い地域で支持されています。

ところでGeodemo1「都市部富裕層」とGeodemo2「富裕層ファミリー」のセグメントはその他国産ビール(地ビールなど)の愛飲率が高いのも特徴です(全国平均5%に対してGeodemo1は9%, Geodemo2は7%)。人と違ったものに価値を見出すのも「都市部の住人」です。

プレモルは2011年に「味とパッケージ」を大幅に変更。もう一杯飲みたくなる本格的な味とプレミアム感を実現(http://globis.jp/column/2432/)。都市部の人たちにとってここだけの味である「地ビール」好きとプレモル好きには共通の居住地特性がみられます。

注1)本ブログ記事はジオマーケティング株式会社と楽天リサーチ株式会社が共同で実施した調査をジオマーケティング株式会社で分析したものを元としています。

この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作