2016.01.08

商圏分析からの顧客戦略


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リアル店舗をもつ小売業にとって最大の関心は自分の店の商圏内にはどんな需要があるのか、そしてこの需要をとらえるためにはなにをすればよいのかということでしょう。これまでの商圏分析は、もっぱら人口などの量にばかり注目されてきました。しかし、現在はオーバーストアの時代。人の買い物行動に注目した商圏分析がかかせません。

商圏調査の基本はデスクワーク(人口統計データ)とフィールドワークです。まずはディスクワークのほうに注目しましょう。商圏調査に使用される統計データは、5年に1度実施される国勢調査のデータが主流です。国勢調査より住民基本台帳のほうが毎月アップデートされるのでそちらがいいという人もいますが、居住者の質的違いがわかるのは国勢調査です。最新の国勢調査は、昨年2015年10月に実施されました。公表されるのは2017年の年末になります。ですので現在利用できる最新データは2010年(平成22年)調査のものです。2010年の国勢調査の小地域統計(ほぼ大字町丁目の地域単位で全国で約21万カ所)データが完全に公表されたのが2012年12月でした。

国勢調査では男女別、5歳刻みの人口、家族構成、世帯の大きさ(単身世帯から7人以上の大家族か)、住宅の種類(戸建か集合住宅か自己所有か賃貸化)、収入をどの産業分野から得ているか(1次、2次、3次産業か)、学歴、就学状況などの200項目以上の居住者に関する属性情報を利用することができます(詳細は総務省統計局の国勢調査を参照)。

商圏分析では、これらのデータを集計しグラフや一覧表にしますが、正直このようなデータの意味を読み解くのは至難の技です。さらに、そこから出店戦略を考えるとか、どんなテナントを選べばよいかといった判断は統計情報を羅列しただけではできません。そもそも人間には、大量の数値の規則性を見つけるための能力がありません。

そこで登場するのが「居住者クラスター」という考え方です。日本全国の小地域統計をクラスター分析(共通する特徴で分類する統計手法)すれば直感的に商圏の質的な違いを理解することができます。この記事のサイドメニューにある「ジオデモグラフィックス」をクリックすると関連する記事を見ることができます。

居住者の違いに注目したセグメンテーション(分類:グループ分け)を「ジオデモグラフィックス(Geodemographics)」とよびます。地域(geo)と人口動態(demographics)の合成語ですが、マーケティングから選挙の世論操作まで幅広い分野で利用されています。実際のどのように分類されているか geodemo.jp のサイトで確認することができます。

2010年の国勢調査と地価公示価格と所得推計モデルを組みあわせて、日本の居住者を10グループ74セグメント分類したものが居住者クラスターGeodemoです。消費活動の違いを説明する要因として市街地、郊外、地方といった生活環境の違い(地理的なライフスタイルの違い)と家族の成熟度(ライフステージ)に注目して統計的な手法を用いて分類しています。

ジオデモグラフィックスのマーケティングへの応用の歴史

欧米では80年代ごろから、国が実施する人口統計調査の小地域統計(市区町村より小さく区分した地域単位)情報が公開されるようになったのをきっかけ「市場細分化」方法として注目されるようになりました。日本では、1995年から小地域統計情報が公開されるようになってから各種の研究と製品開発が進んでいます。

ショッピングセンターなどの大型商業施設のマーケティングでは、数万から数十万人規模の単位で市場を理解する必要がありますからこのような居住者の質的違いをわかりやすく分類したジオデモは便利なツールとなります。このジオデモでデータマップを作製すると消費の景観の読み解きが面白いようにできるようになります。

ジオデモグラフィックスの歴史や応用については「ジオマーケティング戦略」(幻冬舎)に詳しく掲載されています。

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この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作