2016.03.20

大型商業施設「役にたたないアンケート調査ベスト5」その1


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大型商業施設向けのアンケート調査を数多く実施していると「役に立たない質問」があることに気づきます。でもその質問は施設運営者が最も知りたい項目でもあります。

役に立たないアンケート質問・分析ベスト5

  1. 来ない人の意見を聞く
  2. 平均値をつかって分析する
  3. 満足度を聞く
  4. マーケットシェアを調べる
  5. 性別年齢のみで分析しようとする

まずは「来ない人の意見を聞く」に注目してみましょう。「来ない人の意見を聞く」はとても人気の高い調査項目です。きっといろいろな不満があって来ないのだから有益な意見を言ってくれるものだと期待するのですが毎回見事にその期待は裏切られてしまいます。「来ない人」は「意見がない」かもしくは「テキトーな意見」の持ち主でしかありません。

実際に「来ていない人」にその理由をインターネットのアンケート調査で聞いても「用がないから」「ほしいものがないから」という回答しか得られません。たまたま来た来館頻度の低い人を施設の入り口で直接調べてみても同じような結果が得られます。

「来ない人に」に「あなたはどんなテナントがほしいですか?」と質問するとかなりテキトーなブランド名を列挙します。もともとその商業施設に関心がないのですからまじめな回答を期待する方が無理ということにあらためて気づかされます。

「来ない人」というのは「用がない」、車などの「移動手段がなくゆくことができない」、「他の商業施設で用が済んでしまう」、「遠い」などいづれにしても「行く理由」がなかったり「物理的にアクセスできない」人たちがほとんどです。

「来ない人」の中には「来ることができなくなった人」も含まれます。就職、結婚、出産、引っ越し、高齢化などライフステージの変化によって行けなくなったり行く理由がなくなったりする場合もあります。

「来ない人」調べる動機とは

「来ない人」を調べるそもそもの動機は「来館人数を増やしたい」という欲求にあります。ここで注意しなくてはいけないのが大型商業施設における「来館人数」です。「来館人数」は必ずしもユニーク顧客数を指しているわけではありません。すでに来ているお客さまの来館回数が増えれば結果「来館人数」が増えたことになります。

「来館人数」をもっとも低いコストで増やす方法は既存のお客さまをきちんと理解して「ひとりあたりの来館回数を増やすこと」になります。比較的よく来館する人の意見をアンケートで集計してみると、クレームも含めて情報量が豊富だという特徴があります。普段から利用しているひとはどんなテナントやサービスが必要か非常に明確に答えてくれます。

「来ない人」を調べるより「利用経験」のあるひとたちの、しかも比較的よく利用してくれる人たちの意見をきくことはとても有益です。しかし、回答者全員の意見をまんべんなく集計したのでは役にたつ情報を引き出すことはできません。これを「平均値」の罠とよびましょう。

来館頻度や利用しているテナント、競合施設の利用実態から複数のグループに分類して希望テナントや自由意見を集計すことによって来館回数を増やすための施策が見えるようになります。アンケート回答者全員の意見を一度特徴のある複数のグループに分類してから集計するところがポイントです。

30以上の専門店が入った大型商業施設の場合、レストランをよく利用するひと、ファッションを利用するひと、スーパーマーケットを中心に利用するひとなど様々な利用パターンがあり、利用者を上手に類型化しないと分析結果は役にたたないものとなります。

次回は「平均値の罠」に注目してみます。

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この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作