2015.11.09

郊外と市街地の境界線はどこにあるか?


郊外と市街地。これほど頻繁に使われている用語なのに、ひとによってイメージはばらばらです。マーケティングにおいても市街地と郊外の境界線はどこにあるのかというのはよく議論になります。

かつて「郊外」といえば「人口増化」「モータリゼーション」などのキーワードでなんとなく共通のイメージをつくることができました。現在「人口増加」している「郊外」多くはありません。

いっぽう自動車の普及率の伸びは頭打ちです(一般財団法人自動車検査登録情報協会が集計した平成27年3月末現在における自家用乗用車(登録車と軽自動車の合計)の世帯当たり普及台数1.069台前年同水準)が、郊外を考えるうえでヒントになりそうです。そこで、居住地クラスター(Geodemo)ごとに自動車の所有率を比較してみることにしましょう。

居住エリアでこんなに違う自動車所有率

自動車は持っていないと回答した人の居住者クラスター別割合

自動車は持っていないと回答した人の居住者クラスター別割合

図は自動車を所有していないと回答した人のパーセンテージを10の居住地クループごとに集計したものです(楽天リサーチのとの共同調査(注 n=1536)。日本全体では23%の人がもっていないと回答したのが、

  1. Group1「都市部富裕層地区」(55%)
  2. Group2「富裕層ファミリー地区」(32%)
  3. Group3「シングル・カップル地区」(40%)

と全国平均を大きく上回る「非所有率」となっています。これらのグループに共通する特徴は、人口密度が高く公共交通機関がよく発達しているエリアである点です。車を所有することが非常にコストであるエリアでもあります。

自動車は必需品だが経済性も大事だと軽自動車という選択

居住者クラスター別軽自動車保有率

居住者クラスター別軽自動車保有率

こちらのグラフは、同じ調査の「軽自動車の所有率」です。全国平均21%。この平均より極端に軽自動車の所有率が低いのが、先ほどの「非所有率」上位3グループと同じです。

  1. Group1「都市部富裕層地区」(6%)
  2. Group2「富裕層ファミリー地区」(11%)
  3. Group3「シングル・カップル地区」(12%)

郊外と市街地の境界がわかり易く観察できるのが愛知県です。

赤く囲った地域がGroup1, 2, 3の多いところ(市街地)

赤く囲った地域がGroup1, 2, 3の多いところ(市街地)

愛知県は名古屋市を中心にGroup1,2,3(赤い円で囲った箇所)そしてその周りを地元の工場や商業施設に車で通勤するGroup5「ブルーカラーファミリー」世帯が分布しています。

居住者クラスター10分類の分布

居住者クラスター10分類の分布

Group5「ブルーカラーファミリー」にとって自動車は生活必需品ですが経済性も重視されます。Group5と同じく郊外に居住するGroup4「ホワイトカラーファミリー」は市街地の中心部に電車・バスで通勤する事務職系の勤労世帯です。平日は公共交通機関を利用し仕事にショッピング。休日は自動車を利用したレジャー、ショッピングを楽しみます。

Group5地域の人たちは平日も休日も自動車を利用しています。このグループに関連する以下のコラムも参照してみてください。

こんなに違う居住地環境-サザエさんとちびまる子ちゃんの居住環境-

注1)本ブログ記事はジオマーケティング株式会社と楽天リサーチ株式会社が共同で実施した調査をジオマーケティング株式会社で分析したものを元としています。

この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作