2015.11.12

酉の市にみる集積と集客の関係-単館で150以上のテナントが出店しているのは5%


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11月は浅草の酉の市の季節です。江戸時代から伝わる下町の風物詩ですが熊手を扱う屋台は150店近く出店します。七味唐辛子屋、たこ焼きやなどの屋台を合わせると300店舗近くがおおとり神社周辺に集まります。集積するから人が集まる。人が集まるから集積する。集客と集積は相互に影響し合います。

夜になると身動きができないぐらいに参拝者で込み合いますが、この150店舗の熊手専門店が集まると「すごい!」「いるだけでわくわくする」という感覚を覚えます。150という数値はこのわくわく感のつひとつの目安かもしれません。ライバルと一緒に出店すると単独の店舗ではとても集客できない量の顧客をひきつけることができる。しかし、個々のお店にとって周りのお店はライバルです。

全国3000のショッピングセンターにみるテナント数

ところで、日本国内には約3000のショッピングセンターがありますが、300店以上のテナントが出店している施設はそれほど多くはありません。

  1. イオンレイクタウンmori/kaze(540)
  2. ららぽーとTOKYO-BAY(537)
  3. イオン幕張新都心(350)
  4. 玉川高島屋S・C(340)
  5. 名古屋パルコ(337)
  6. 東京ソラマチ(312)
  7. あべのキューズタウン(307)

(ジオマーケティング調べによる)

いっぽう施設を規模別にカウントしてみると以下のようになります。

  • 150以上          154施設 5%
  • 80以上150未満 370施設 12%
  • 40以上 80未満 765施設 25%
  • 40未満 1,784施設 58%

150以上のテナントのあるショッピングセンターは全体の5%で、95%は150店舗未満のショッピングセンターです。80店舗未満の商業施設は比較的古い時代のものが多く、最近作られるショッピングセンターは150店舗以上のものが多い傾向があります。

80テナントは微妙な規模-競合の進出で需要が奪われる場合とその反対に需要が生み出される場合-

郊外のショッピングセンターの調査をしていると80テナント以下の商業施設は周辺環境の影響を受けやすいことに気づかされます。よくあるのが5km圏内に150店舗以上のテナントを持つショッピングセンターが進出してきて、ファッションなどの需要が奪われてしまうケース。このような現象は日本各地で観測されます。

下の図は中部地方の商業施設を規模別に色分けして表示したものです。赤い色の丸は40以上80テナント未満の商業施設を示しています。周辺には同規模かやや大きい商業施設が分布している様子を観察することができます。

中部地方の商業施設分布

中部地方の商業施設分布

反対に150店舗のショッピングセンターの近くに競合が進出してくると今度は施設同士の相乗効果が生まれ双方で集客することができるようになる場合があります。消費者にとって複数の商業施設が集まったところは魅力的になります。

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この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作