2015.11.02

高所得者が多い地域だからといって高級品が売れるわけではない


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今年は5年に一度の国勢調査の年です。国勢調査に回答してみた方は気づいたと思いますが所得を回答する欄は存在しません。エリアマーケティングで人気の「所得」「世帯収入」は総務省統計局の統計ポータルサイトで調べることができます。

表は市区町村単位の「(1)課税対象所得(百万円)」と「(2)納税義務者数」の一覧表です(統計でみる市区町村のすがた2015)。一人当たりの平均課税対象所得は(1)/(2)で求めることができます。

所得ランキング

2013年市区町村別一人あたりの平均所得ランニング

上位にランキングされているいるのは、1位 港区、2位 千代田区、3位 渋谷区そして4位に兵庫県芦屋市が入っています。

INDEXに表記している数値は、日本全体の市区町村別平均課税所得額を100とした場合の数値です。

港区の平均課税所得額900万円は日本の平均280万円の3.28倍あるということになります。

以前、芦屋駅周辺の商業施設に出店したクライアントから相談を受けたことがあります。周辺は富裕層が多いので高額な商品が売れるだろうと思ったのにあまりよい成績ではないそうです。

店舗開発、テナントリーシング担当者の間では所得指標は人気の指標です。しかし所得ばかりに注目していると判断を誤ります。

商業集積に注目してみる

ある商品やサービスの需要があるかどうかは、商圏内のボリュームと所得の分布(居住者クラスター)そして、商業の集積度が重要な要素となります。両方を見比べて判断する必要があります。

芦屋駅周辺の5km圏

JR芦屋駅駅周辺の富裕層はGeodemo2「富裕層ファミリー」地区

JR芦屋駅周辺の商業集積は「ラポルテ」(33,000平米)、大丸芦屋店など半径1km圏で570億円/年の小売販売額です(2007年商業統計)。

一方芦屋駅から約5kmのところには西宮ガーデンズがあり約7万平米、半径1km圏の小売販売額は915億円/年(2007年商業統計)です。商業統計は西宮ガーデンズが開業する1年前のものなので現在では1300億前後になっていると推定されます。

芦屋の富裕層のお金は芦屋駅周辺の商業施設では最寄品、買回品は西宮ガーデンズ、さらに通勤しているエリアの梅田と何を買うかで使い分けられていると考えられます。小売り中心地の階層性という考え方です。ちなみに梅田駅1km圏の小売販売額は8600億円/年で、西宮ガーデンズ周辺の7倍近い集積度です。

テナントミックスを検討する際には、周辺居住者の所得だけでなく商業集積地の規模、ブランドの集積度の理解も欠かせません。商圏居住者のライフスタイル、小売中心地の規模、ブランド集積度の3つの視点から出店計画、商品施策を検討するのが基本です。

「周辺居住者のライフスタイル」と「小売り中心地の規模」をまとめたのが「ショッピングセンタークラスター3000」。日本全国の大型商業施設を「周辺居住者タイプ」と「小売り中心地の大きさ」の二つの切り口を地図とデータで比較することができる便利な地図シートです。

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この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作