2015.11.10

高額納税者名簿から理解する富裕層の居住エリア


今から10年前(2005年)に廃止された高額納税者名簿を使っていかに富は偏在しているかを見てみましょう。高額納税者名簿は、所得税納税額1000万円以上納税した人の全国リストです。所得税は、前年1年間の収入から諸経費、各種控除をさし引いた課税所得にたいして納税額が算出されます。1000万円以上の納税をしたということは、2500万円以上の課税所得がその前の年の1年間に発生したことになります。

日本最初の高額納税者名簿の上位者ランキングの多い意外な県?

日本で最初に納税額が記載された高額納税者名簿が発行されたのが明治31年です。この全国多額納税者互選名鑑の上位者は大地主(農業・土地貸し)です。そして、いまではちょっと信じられないかもしれませんが高額納税者の多い県の上位に新潟県や三重県が入っています。

高額納税者名簿

一方2005年の高額納税者名簿には金融、流通をはじめとするサービス業の経営者もしくは管理職が上位にはいっています。富の源泉が土地よりも信用へと変化している様子を観察することができます。

2005年は33年ぶりに「サラリーマン部長」が1位になったとマスコミで大きな話題となりました。清原氏の報酬は株の運用による成功報酬が中心です。ただし、「時間賃金」「年功型賃金」のいわゆる一般に言われる「サラリーマン」の収入タイプとは、かなり違うことには注意しなければなりません。

東京一極集中のリアルな現状

2005年度の高額納税者リストには、全国で76,515人が掲載されています。このひとたちの都道府県別ベスト10をみると、1位東京都23,201人(30.7%)でもっとも多く、つづいて神奈川県(6,799人9.0%)、大阪府(5,293人7.0%)、愛知県(5,236人6.9%)と続きます。

高額納税者の実に53%以上がこれら4都府県に分布していることになります。高額納税者は日本全国に散らばっているのではなく、特定の都道府県に分布しています。

2010年の国勢調査から構築された居住者クラスター(Geodemo)で東京都、新潟を比べてみると以下の表のようになります。東京に富裕層が多く居住している様子を確認することができます。

東京都の居住者クラスター

東京都の居住者クラスター

新潟県の居住者クラスター

新潟県の居住者クラスター

東京に特徴的なGeodemo1「都市部富裕層地区」は所得1000万円以上の割合が日本全国の12倍近く多く居住しているエリアとして分類されています。居住者クラスターGeodemoについては「ジオデモグラフィックス」のカテゴリーを参照すると様々な地域の居住者グループの様子を見ることができます。さらに詳細な情報は日本全国のGeodemoが閲覧できるサイト geodemo.jpをご覧ください。

Geodemo10分類と世帯収入指標

Geodemo10分類と世帯収入指標

この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作