2016.01.21

港区の所得水準は足立区の3倍!?東京23区「びっくり格差」と言うけれど…


一般社団法人東京23区研究所 所長 池田利道氏「港区の所得水準は足立区の3倍!?東京23区「びっくり格差」ランキング」(Diamond Online2015年12月2日)が話題になっています。「港区が904万円、足立区が323万円とその差が3倍近い」とセンセーショナルなタイトルです。

以前、筆者の記事「高所得者が多い地域だからといって高級品が売れるわけではない」(2015年11月2日)で取り上げた総務省統計局「市区町村のすがた2015」で港区は一人当たりの課税所得額がもっとも高い区で全国平均値の3.2倍です(下表ご覧ください)。

市区町村のすがた2015

市区町村のすがた2015

足立区は日本の平均。むしろ港区が異常値

港区は日本平均の3.2倍!?ということは、足立区は日本の平均に近いということになります。足立区の所得が低いというより港区が異常に高い地域だと考えたほうがいいようです。

もう少しマクロな視点で所得を比較するとどうでしょう。都道府県の所得水準ランキングは以下の表の通りです(画像をクリックすると拡大してみることができます)。

1位東京、2位神奈川県、3位愛知県、4位千葉県です。最下位は沖縄県と思いきや秋田県です。沖縄県は47都道府県中38位です。大阪府は8位、京都府9位となっています。

都道府県別所得金額ランキング

都道府県別所得金額ランキング

さて本題の足立区と同水準の所得の市区町村は以下の通りです。

足立区と近い所得水準市区町村

足立区と近い所得水準市区町村

埼玉県越谷市、三重県四日市市、大阪府堺市、広島県広島市、東京都羽村市、神奈川県小田原市、東京都昭島市などが似た水準の市区町村です。1901市区町村(2010)のうちランキングで178位ですから上位10%に足立区は含まれます。

足立区は日本の平均値を100とした場合118ですから貧しい区では決してありません。たしかに港区と比較するとその差に驚かされますが、港区がむしろ異常値でだといえます。

居住者クラスターでみる港区と足立区

Geodemo市区町村版から港区と足立区のシートでどんな居住者が多いかみてみましょう。

港区(Geodemo市区町村版)

港区(Geodemo市区町村版)

足立区(Geodemo市区町村版)

足立区(Geodemo市区町村版)

港区はGeodemo1「都市部富裕層」地区が区全体の90%を占めています。いっぽう足立区は、Geodemo1, Geodemo2「都市部富裕層ファミリー」, Geodmeo3「シングル・カップル」, Geodemo4「ホワイトカラーファミリー」と、高齢者の多いGeodemo6「高齢化進展地区」,Geodemo8「アクティブシニア」など多様性があります。およそ56,000世帯(18%)が高齢者地区に分類されています。

高齢者が多くなると所得水準が低くなります。生産手段を持たなくなるので当然といえば当然ですが…足立区が23区のなかでも所得水準が低くなってしまう原因といえそうです。

新旧の住民が混在する2重構造

高齢者の多い地区は古くからの住人が多く住んでいます。いっぽう再開発で大型マンションなどが建つと新しい住民が移住してきてGeodemo4「ホワイトカラーファミリー地区」を形成します。

旧住民地区と新住民地区が混在する、それが足立区の居住者景観を形成しています。混在しているということは、同質性の高い「ハイソ」な港区の雰囲気と違って「庶民的」で活気があるという個性にもなっています。

この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作