2017.05.22

日本SC大賞 特別賞 オガールプラザ・オガールベース 岩手県紫波郡紫波町


Tweet about this on TwitterShare on Facebook11Share on Google+0
日本SC大賞 特別賞 オガールプラザ・オガールベース 岩手県紫波郡紫波町

先日、2017年の第7回日本ショッピングセンター大賞が発表されました。全国にある3,097商業施設のうちから金賞に選ばれたのは、ラグジュアリーブランドのアウトレットのロールモデルを確立した「御殿場プレミアム・アウトレット」(三菱地所・サイモン(株))でした。そして、特別賞には「オガールプラザ・オガールベース」が選ばれました。

紫波中央駅広場

オガールプラザ(図書館と商業施設)とオガールベース(体育館と宿泊施設)は、岩手県盛岡市の南に位置する紫波町(しわちょう:人口32000人)が約10年の歳月をかけて、丁寧に駅前を開発した官民連携のまちづくりプロジェクトによって生まれた施設です。

今年4月の週末に現地を取材してみると、こんな田舎(失礼!)の駅前に、風景に溶け込んだ広場と役場、交流施設、図書館、体育館、宿泊施設、マルシェ、カフェ、居酒屋、塾、コンビニ、クリニックがコンパクトにまとまっています。地元の人もまた、外から来た人にも居心地の良い空間がひろがっているのに驚かされます。

統一感のある街並み、コストをぎりぎりまでに削りながらも、とてもおしゃれなまちなみです。一度、訪れたら、おそらくみんな住でみたいと思うじゃないかと素直に感動してしまう街並みです。そして、日常から賑わいを演出するための仕掛がいっぱいです。

地元のトレンディースポット。真魚板(まないた)

オガールベースにチェックインした後、近くに居酒屋がないかとホテルのフロントに聞いてみると、徒歩2分のところ、同じ敷地内にある居酒屋を紹介されました。乗者客がおよそ1500人の田舎の駅前にはチェーン店は出店することはできません。オガールベースと広場を挟んで向かい側にあるオガールプラザ中にその居酒屋はありました。

オガールプラザの店舗は21時以降はひっそりとしていますが、地産地消居酒屋「真魚板(まないた)」は若い人たちで満席でした。予約しないとなかなか入れないそうですが、地元の人たちのトレンディースポットとなっています。昼間は、定食屋として営業しています。回転のよい空間利用です。

オガールベースのカフェテリア

宿泊施設のオガールベースでの翌朝の朝食では、千葉県からバレーの試合に来ていた高校生と一緒になりました。ビュッフェ形式の朝食、地元の食材でとてもおいしい、疲れない味付けです。ビジネスで利用しても学生が合宿で利用しても違和感なく利用できる空間となっています。オガールベースのフロントのかたも、親切にいろいろと町の様子を教えてくれます。

体育館は日本初のバレーボール専用の体育館としてオープン、国際試合の開催もできるスペックです。寒い地方でも快適に部活動ができるので、岩手県の沿岸部や県南地区から集まったの中学生、高校生クラブチームが汗を流していました。

国際試合ができるバレーコート

このオガールプラザを中心とした駅前再開発プロジェクトの真骨頂は「官民プロジェクト」でありながら、補助金に頼らず、採算性を最優先にした開発投資と運営が徹底されているところです。それでいて機能的で居心地がよい「まち」になっています。宿泊者や駅を利用する人向けにコンビニエンスストアもあり利便性も確保されています。紫波マルシェには地元産の野菜・果物が売られていて、多くの人が訪れています。

産直市場・紫波マルシェ

オガールプラザ・オガールベースの開発の経緯と背景、その苦労と工夫については「町の未来をこの手でつくる -紫波町オガールプロジェクト 駅前の空き地が広場と図書館に!? 人口3万人の小さな町が生まれ変わった。補助金に、頼らない公民連携によるまちづくりの全貌。猪谷千香 著(幻冬舎)」に詳しく書いてあります。

前紫波町長の藤原氏のリーダーシップと、次世代のリーダ(起業家・事業家)となる人を育成するといった、「人づくり」からはじめた「まちづくり」である点がポイントでしょう。

著者の刈谷さんによると、「紫波町図書館」が「農業支援サービス」など情報発信と交流の促進の場として積極的な活動をしていることで知られていたかのに興味を惹かれて取材したことが、紫波町を取材するきっかけだったそうです。

まちづくりの資料が充実した図書館

図書館は高い天井と開放的な空間で、併設されたおしゃれなカフェではビールも飲むことができます。そして中央の書棚にはまちづくり、コミュニティーづくり、リノベーションによる地域再生に関する蔵書が豊富です。特設コーナーも作られており、ここの住んでいるひとたちの、まちづくりへの意気込みと問題意識の高さを感じることができます。

カフェも併設されているたベーカリー

たまたま、前日、居酒屋のカウンターで同席したご夫婦は、ご主人が紫波町出身で、奥さまは東京出身だそうです。今日は地元に戻ってちょうど1周年で、そのお祝いをしていたのだそうです。そして、もうすぐお子さんも生まれるとのこと。子育て世代が戻ってきているということは、魅力的なまちづくりが成功しているなによりの証拠でしょう。

 

Tweet about this on TwitterShare on Facebook11Share on Google+0
この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作