2016.01.29

個性豊かなメンズ店が共存 -宇都宮中心部- 地方セレクトショップの可能性


宇都宮の中心市街地のハイストリート「オリオン通り」にグループ店舗を10店舗出店してコアな客層から支持されている「アークネッツ」(リストリクト)という地方セレクトショップがあります(繊研新聞2016年1月27日)。今日は「地方セレクトショップ」の可能性に注目してみましょう。

栃木県全体の小売販売額は全国17位の4.7兆円(2007)。そのうちの半分以上の2.8兆円が宇都宮市に集中しています。栃木県の大型商業施設の分布が次の図です。

栃木県の大型商業施設の分布

栃木県の大型商業施設の分布

佐野市(イオンモール佐野、佐野プレミアムアウトレット)、小山市(ハーヴェストウォーク)、宇都宮市(パルコ、LaLasquare UTSUMOMIYA、ベルモール、FKDショッピングモール)、那須塩原市に分布しています。

二つの商業集積地がある宇都宮

宇都宮市には2つの商業集積地があります。新幹線の駅のあるJR宇都宮周辺と、オリオン通りやパルコ宇都宮のある旧市街地です。旧市街地は東武線の宇都宮駅の西側に広がっています。

宇都宮市の2つの小売中心地

宇都宮市の2つの小売中心地

まず旧市街地を代表する宇都宮パルコ周辺の5km商圏のデータをみてみましょう。

宇都宮パルコ周辺5km圏

宇都宮パルコ周辺5km圏

宇都宮パルコ周辺の1km圏の小売販売額は924億円(2007年商業統計)、人口はマイナス0.22%/年です。パルコの南側に隣接するハイストリートの商業集積地「オリオン通り」は閑散としていますが、ひとつは足元商圏人口の減少が原因です。

いっぽうJR宇都宮駅に隣接する商業施設LaLaterrace UTSUNOMIYA周辺1km圏は1,590億円、プラス2.4%/年の人口増です。旧市街地に比べて商業集積も大きく人口増化が確認できます。

LaLasquare 5km圏

LaLasquare 5km圏(SCクラスター3000)

二つの小売中心地の5km圏の世帯数は127,000世帯前後でほぼ同じ規模。居住者タイプは地方都市の中心部に多いGeodemo3「シングル・カップル」と宇都宮中心地に通勤するGeodemo4「ホワイトカラーファミリー」、その外側に居住し自動車で周辺の工場、倉庫、商業施設に通勤するGeodemo9「地方子育てファミリー」が多いのが特徴です。

宇都宮発セレクトショップは地方郊外型ショッピングセンターの救世主?

足元人口が減少する全長500mの「オリオン通り」に10店舗。悪い環境の中で業績を伸ばしているそうです。「ストリートからモード、アメカジ、オーセンティックな大人服までをまでテイストをミックスしつつジャンル別にメンズセレクトショップをドミナント化。そのうちの海や山をイメージするリラックススタイルを提案する「ピアラウンジ・バイ・アーク」は堅調な売上。宇都宮郊外のベルモール(売場50,400平米)、埼玉越谷レイクタウン(売場218,000平米)に出店」(同紙)。

足元人口が減る中で幅広い客層にリーチするために複数のブランドを集中的に出店。固定客がいなければ安定した収益が難しい立地での事業成長。この手法は地方都市の旧市街地の魅力度アップに役立ちそうな方法です。ベルモールや越谷レイクタウンで成功しているとすると「地方都市郊外型ショッピングセンター向けのセレクトショップ」として店舗網を拡大することができるかもしれません。

地方セレクトショップは482箇所の出店ポテンシャル!?

SC規模・立地別一覧(株式会社リテールフロンティア研究所代表取締役 小嶋 彰氏資料に加筆)

SC規模・立地別一覧(株式会社リテールフロンティア研究所代表取締役 小嶋 彰氏資料に加筆)

都市型のセレクトショップは地方都市郊外SCに出店すると売上げが稼げないという悩みがあります。都会のひとには地方のテイストはわかりません。地方都市のハイストリートで鍛えられたセレクションは「都市型セレクトショップ」が進出できないSCに提案できるテナントとなりそうです。

SC規模・立地別一覧表でみてみると、郊外地域でかつ20,000平米以上のSC(482箇所)あたりが狙い目ではないでしょうか。郊外ショッピングセンターでファッションにもっと個性をと思っているところは「地方セレクトショップ」はアリかもしれません。

この記事の執筆者
酒井 嘉昭

酒井 嘉昭

代表取締役

技術士(環境部門)測量士 日本大学文理学部地理学科卒業 都市計画、防災・環境計画の土木計測のエンジニアとしてキャリアをスタート。 英国のデータ分析会社GMAPの上級アナリストから日本ジーマップ代表取締役に。分社化に伴い現職。居住者クラスター分類ジオデモの開発者。主要な著作