機械学習による売上予測プロセスを応用し、
既存施設の正確な商業ポテンシャルを計測
株式会社西武プロパティーズ様

#売上予測

株式会社西武プロパティーズは、西武グループの不動産事業の中心を担う企業です。グループが保有する資産を有効活用するため、商業施設やオフィスビル、ホテル、住宅、駐車場など多岐にわたる事業を手掛けられています。

株式会社西武プロパティーズ

月日の経過とともに商業環境が変化する中で、
運営施設の現時点の商業ポテンシャルを見極めたい

背景

西武プロパティーズは西武グループの不動産事業の中心を担っており、沿線価値の向上に繋がる商業開発もメイン事業の一つです。

商業施設は開発して終わりではなく、その後長期間に渡って運営することになります。
商圏内の人口構成や家族構成、所得、消費意識などは月日の経過とともに大きく変化するので、過去の売上高をもとに現時点の売上高の多寡を評価するのは問題があります。
既存各施設のパフォーマンスを正しく評価するために、現時点でどれくらいの売上が期待できるのか、つまりポテンシャルを見極めたいと考えました。

ジオマーケティングとは過去にGeodemoを使って商圏内のライフスタイルを分析するプロジェクトを実施したことがあり、満足な結果を得ることができていました。
そこで、その延長線上でこの問題を解けないかということでジオマーケティングに依頼しました。

売上予測モデル構築のテクノロジーを
既存施設のポテンシャル計測に応用

提供ソリューション

機械学習による売上予測モデルを応用することで、商業ポテンシャルの計測を実施しました。

一般的に売上予測モデルは既存施設の売上データを学習することで作成し、それを新規施設の売上予測に利用します。
本プロジェクトでは、この売上予測モデルに既存施設のスペックを入力して予測し直すことで、その値を現時点の商業ポテンシャルと捉えました。
この値と実際の売上を比較することで、既存各施設のパフォーマンスを正しく評価することが可能となりました。

また、売上予測モデルの構築にはクライアントが社内で入手できるデータを使って学習するのが一般的です。
しかし、西武プロパティーズが運用している施設の売上情報に加えて、パブリックになっている他社施設の売上情報を加えてモデルを構築することで、モデル精度の向上にも取り組みました。

ポテンシャル計測はハフモデルで解けない大きな課題だったが、
概ね納得できる結果を得られたことは収穫だった。

お客様の声

島田 隆様
株式会社西武プロパティーズ
マーケティング戦略部
担当課長(マーケティング担当)
(※役職名は取材当時のものです)

ここ数年、刻々と変化する周辺マーケットに対し、現状の自社施設の売上は「妥当性があるものか?」という疑問を常に抱いていました。
加えて現状売上の妥当性を可視化することは、対象施設の適正な売上(努力)目標の設定、改装・大規模修繕の投資判断に繋がると考えていました。

一般的に商業施設の売上予測で使用されるハフモデルは、郊外の大型SC等の調査では一定の有効性はあります。
しかし、施設面積や設定商圏が狭い駅ビルなどの計測には必ずしも有効ではないことから、それに代わる調査方法を模索していたところ、ジオマーケティングより機械学習(AI分析)による調査を提案されました。

本プロジェクトでは一般的な定量データに加え、ジオマーケティングや弊社の保有データ、同業他社の売上データ等をクロス分析するにあたり、機械学習(AI分析)を導入し、現状のマーケットポテンシャルと自社施設の実際の売上との適合度を算出するという手法を取りました。
実現までには度重なる設定条件の変更・修正等がありましたが、最終的には概ね妥当性がある調査結果が導き出せました。
加えて自社施設とマーケット特性や規模の類似性が高く、売上が好調な他施設の店舗構成を比較することで、リーシング業務におけるテナント選定の参考になることも分かりました。

商業施設に対するニーズはこれからも変化し続けていきます。
駅ビル・エキナカ商業施設を中心に営業展開する弊社にとって、魅力ある施設を作ることで沿線価値の向上に繋げていくことは重要なミッションであり、今回の成果は今後の弊社の商業施設運営にとって、重要なツールになると考えています。